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群動詞を含んだ文の受動態
群動詞とは、動詞+前置詞や他動詞+目的語+前置詞などの形で、全体で1つの動詞と同じ働きをするものをいいます。主に熟語(=イディオム)として紹介されるもので、この内容は受動態の知識よりも熟語力の方が重要になります。
ex | He looked after me.(look after「~の世話をする」) 「彼が私の世話をしてくれた」 |
和訳だけで考えると二者関係は簡単に分かりますが、1講座の文型の単元でやったように、普通、前置詞句(after me)は文型に入りません。
[能動態]
やはり3つの書き換え部分を確認(次ページで後述)
主語(S) | 述語(Vt) | 目的語(O) |
He | looked after | me. |
[受動態]
⇒ I was looked after by him. ○
「前置詞が2つつながるのはおかしい」とafterを削除する人が多くいます。
⇒ I was looked by him. ×
look afterの群動詞になってはじめて「~の世話をする」の意味になるので、これでは文の意味が変わってしまいます。前置詞が2つつながっても、文法的にこれで正しいのです。
群動詞を含んだ文の受動態 take care of~ ~を世話する / look up to~ ~を尊敬する などのイディオムを暗記する(暗記例文参照) |
実はこの群動詞のパターンは、熟語を知らなくても解けるものが多くあります。受動態に書き換えろというからには、当然文中には二者関係があるはずです。書き換えでいつもやっている二者関係の把握をすると、主語(S)と目的語(O)の間にあるのは、当然他動詞(Vt)の述語なので、そのはさまったかたまりが群動詞と分かるわけです。
look afterは「動詞+前置詞」で1つの他動詞の働きをする例です。
主語(S) | 述語(Vt) | 目的語(O) |
He | looked after | me. |
群動詞による文型の考え方
群動詞とは、動詞+前置詞や他動詞+目的語+前置詞などの形で、全体で1つの動詞と同じ働きをするものをいいます。主に熟語(=イディオム)として紹介されるもので、この内容は受動態の知識よりも熟語力の方が重要になります。
ここでは1講座からの簡単なまとめとして、文型や自動詞・他動詞のおさらいと補説をしていきます。1 自動詞・他動詞や文型の意識
1講座以降で動詞の自動詞・他動詞や文型を意識してきた人なら、動詞を見れば、その後ろの文がどういう形になっているか分かってくる頃だと思います。一つ例文を見てみましょう。文型や大雑把な訳し方が分かりますか?
ex | blank |
これは"~find the key." (SVO)や"~find the question easy." (SVOC)などの簡単な文を沢山見ることで、その動詞がつくれる基本の文型(構文)が自然に身についていくからです。このサイトの説明部分が、簡単な例文で紹介されているのもそういう理由です。2 辞書で調べる時は自動詞・他動詞を確認しましょう。
動詞を辞書でひく時には
- 自動詞か他動詞か
- 規則動詞か不規則動詞か
- 文の構文はどの形をとれるのか
などを確認するようにしましょう。ただし確認する程度で十分で、一度に全部覚える必要はありません。続けていれば、少しずつその感覚的なものが体に吸収され、自然に応用ができるようになっていくはずです。
ex | He looked after me. (look after「~の世話をする」) 「彼が私の世話をしてくれた」 |
和訳だけで考えると二者関係は簡単に分かりますが、1講座の文型の単元でやったように、普通 前置詞句(after me)は文型に入りません。
[能動態]
やはり3つの書き換え部分を確認(後述)
主語(S) | 述語(Vt) | 目的語(O) |
He | looked after | me. |
[受動態]
⇒ I was looked after by him. ○
「前置詞2つつながるのはおかしい」とafterを削除する人が多くいます。
⇒ I was looked by him. ×
look afterの群動詞になってはじめて「~の世話をする」の意味になるので、これでは 文の意味が変わってしまいます。前置詞が2つつながっても、文法的にこれで正しいのです。
実はこの群動詞のパターンは、熟語を知らなくても解けるものが多くあります。受動態に書き換えろというからには、 当然文中には二者関係があるはずです。書き換えでいつもやっている二者関係の把握をすると、 主語(S)と目的語(O)の間にあるのは、当然他動詞(Vt)の述語なので、そのはさまったかたまりが群動詞と分かるわけです。
take afterは「動詞+前置詞」で1つの他動詞の働きをする例です。
主語(S) | 述語(Vt) | 目的語(O) |
He | looked after | me. |
by以外の前置詞を使う受動態
受動態の書き換えで使われる前置詞はbyですが、一度辞書で調べてみて下さい。前置詞は一つ一つにその役割があり、内容によってふさわしい前置詞が使われていただけで、受動態だから必ずbyになる、というわけではありません。"be interested in"のように、この内容はみなさんがよく目にするイディオムという形で紹介されています。前述の群動詞も含めてイディオムを増やしていきましょう。
ex | The noise surprised us. 「その騒音が私を驚かせた」 |
[能動態]
やはり3つの書き換え部分を確認
主語(S) | 述語(Vt) | 目的語(O) |
The noise | surprised | me. |
[受動態]
⇒ I was surprised by the noise. ×
「私はその騒音に驚いた」
普通ならby~となるところですが、"be surprised at"のイディオムになります。
⇒ I was surprised at the noise. ○
なぜ?と思うでしょうが、byのニュアンスよりatの方がふさわしいという理由なので、前置詞の意味を詳しく理解していないと納得は難しいでしょう。単純にイディオムということで丸暗記することをお奨めします(前置詞は8講座で扱います)。このイディオムは、形は受動態でも「~する」という能動態の訳し方になる特徴があります。暗記例文に少しまとめておきました。
by以外の前置詞を使う受動態 be interested in ~に興味がある / be pleased with ~に喜ぶ など、「~される」ではなく「~する」の能動態の訳になるものも多い(暗記例文参照) |
この熟語の注意点は、受動態 ⇒ 能動態 に書き換える場合です。普通にbyが使われている受動態なら二者関係の把握は簡単なのですが、それ以外の前置詞が使われているとやはり混乱するようです。このイディオムを含んだ文での書き換えが問われたら、前置詞をbyにすりかえて問題を考えて見ましょう。
ex | I was surprised at the noise. |
byにすりかえてやれば、二者関係の把握も述語の把握も簡単にできます。
⇒ I was surprised by the noise.(もちろんbyは誤文)
【演習】[ ]内の指示に従って答えなさい。
(1) | He took advantage of me. | [受動態に] |
(2) | She was satisfied with his proposal. | [和訳] |
(3) | Everyone knows him. He ( )( )( ) everybody. | [適語補充] |
(4) | He is looked up as a pioneer. 「彼は先駆者として尊敬されています」 |
[誤文訂正] |
ヒント
(1) | |
(3) | |
(4) |
byが省略された受動態
これは代名詞の知識になりますが、We / They / Youには「一般の人」「漠然とした人」を表す用法があります。このこともあって受動態への書き換えでは、by us [ them / you]は省略されやすくなります。
ex | We make milk into butter and cheese. ⇒ Milk is made into butter and cheese (by us). 「ミルクからバターやチーズを造ります」 |
ex | They sell liquors at the shop. ⇒ Liquors are sold at the shop (by them). 「あの店でお酒を売っています」 |
主語と目的語のどちらの内容が主役か、訳を見ればすぐ分かりますね。もちろんmilkとliquorsの方です。能動態にすると、makeやsellの主語を無理に置かなければいけません。でもWe(おそらく一般の製造者の人達)やThey(その店の定員)をここでは 言う必要はないでしょう。こういった時に、by~を省略した受動態の形の方が使われやすいのです。この内容は問題として問われることは少なく、長文などの中で意外によく見かけると思います。
次の文もby~が省略された受動態です。といっても[単位]を表すby~が使われているので、そうは見えませんが。仮に書き換え問題で出題されと場合は、間違えないようにしましょう。
ex | Sugar is sold by the pound.(1ポンド=約454g) 「砂糖はポンド単位で売られています」 |
[受動態]
⇒ The pound sell the sugar. ×
「ポンドが砂糖を売っています」
= Sugar is sold by the pound (by them).(them は漠然と店の人)
⇒ They sell sugar by the pound. ○
that節を含んだ文の受動態
1講座で目的語にthat節をとる文を扱いました。このthat節が二者関係に当たった場合の受動態です。このパターンのポイントは、主語にまわったthat節を代名詞Itで置き換え、It~that構文になるところです。5講座で先にIt~to構文を先取りしておくと、もっと分かりやすく なると思います。
ex | They say that he is intelligent.(Theyは一般の人) 「彼は頭がいいと言われている」 |
[能動態]
やはり3つの書き換え部分を確認
主語(S) | 述語(Vt) | 目的語(O) |
They | say | that he is intelligent. |
[受動態]
⇒ That he is intelligent is said (by them).
長すぎる主語のthat節をItに置き換えると
⇒ It is said that he is intelligent.
「彼は頭がいいと言われている」
命令文の受動態
命令文は目の前の人に向かって「(あなた)~しなさいよ」という文なので、必ず主語はYouです。そのためか通例は省略され、述語も動詞の原形からはじまります。覚えてますか?書き換える場合は使役動詞のletが文頭に使われ、後の動詞が原形になります(後述)。少し混乱するかもしれませんが、あまり見ない問題です。和訳もニュアンスの違いはあっても、能動態・受動態で同じ訳です。
ex | Do it at once.(命令文は動詞の原形からはじまる) 「それをすぐしなさい」 |
[能動態]
二者関係の把握では省略されている主語を補ってやると
主語(S) | 述語(Vt) | 目的語(O) | 修飾語句 |
(You) | Do | it | at once. |
[受動態]
まずは普通に書き換えると
⇒ It is done at once (by you).
この文頭に使役動詞のLetをつけ
⇒ Let it is done at once.
後ろの動詞は原形になります
⇒ Let it be done at once. ○
使役動詞・知覚動詞を含んだ文の受動態
使役動詞(make / have / let)・知覚動詞(see / hear / feel etc)は、5講座不定詞で扱う重要単語のグループです。 使役動詞のmakeを例にとると、
- 後ろに動詞の原形がつながる
- 「~させる」と訳す
といった特徴があります。下の例文ならば、本来はto goと不定詞がつくところですが、そのtoが省略され、後ろに動詞の原形のgoが残った形になります。(文法書で原形不定詞の項を簡単に確認してみてください)
ex | She made him go there. (She made him to go there.) 「彼女は彼をそこへ行かせた」 |
[能動態]
3つの書き換え部分を確認
主語(S) | 述語(Vt) | 目的語(O) | 修飾語句 |
She | made | him | go there. |
[受動態]
まずは普通に書き換えると
⇒ He was made go there by her.
使役動詞の受動態なので原形動詞の前にto不定詞を補います
⇒ He was made to go there by her. ○
「彼は彼女にそこへ行かされた」
この答えは実は"She made him to go there."(toがついているのでもちろん誤文)を 受動態に書き換えた答えと一緒になります。つまり使役動詞の文は、能動態でto不定詞が省略されていると考えれば、分かりやすいでしょう。
使役動詞・知覚動詞を含んだ文の受動態 原形動詞の前にto不定詞を補う |
【演習】[ ]内の指示に従って答えなさい。
(1) | Everyone around here says that he is a liar. | [受動態に] |
(2) | I was made agree against my will. | [誤文訂正] |
(3) | Discuss the matter thoroughly. ⇒ ( ) the matter ( ) discussed thoroughly. |
[適語補充] |
ヒント
(2) | |
(3) |